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ビジネスアジリティとデザイン

21世紀のものづくりの基軸となる「体験デザイン」──ユーザー視点を開発に落とし込むための秘訣とは?

第3回

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 本連載は、「使いたい!」をデジタルプロダクトで実現し続けるための具体的方法である「体験デザイン×リーン×アジャイル」がテーマです。前回は、日本でアジャイル開発が普及しない要因と、「使いたい!」をカタチにする考え方についてお伝えしました。第3回の公開は「体験のデザイン」をテーマに、プロダクトやサービスを提供するための「仮説の立案」と「構築の方法」についてタイガースパイクでUX Designerを務める中島がご紹介します。

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デザイン思考に頼りすぎる“3つの落とし穴”

 UXとは「User Experience」の略で、私はユーザーの体験価値をデザインすることを専門としています。ビジネスにおけるデザイナーの関わりは、商品や画面の見た目やカタチだけではなく、事業計画や企画の段階から関与する機会も増えてきました。しかしまだ多くの方にとっては、ビジネスの検討にデザイナーが入ることの価値や、どのようにして一緒に取り組めばよいかは、想像がつきにくいかと思います。「体験のデザイン」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、デザインの領域に限らず、広くビジネスの課題を開発につなげるためのアプローチと捉えてお読みください。

 製品・サービスは21世紀に入り「モノからコト」にシフトしているということを前回紹介しました。そのような中で、機能よりも使いやすさや心地よさなどの体験に、ユーザーの関心は移っています。ユーザーが使っている状況を意識せずに機能や性能を追求して開発をしても、市場に受け入れられるものにはなりません。アジャイル開発である/なしに関わらず、開発は常にユーザーの体験から入って考える必要があります。

「体験デザイン×リーン×アジャイル」

 このようなプロセスで避けては通れないのが「デザイン思考」です。ビジネスシーンでこの言葉を聞いたことがある方は多くいるはずです。デザイン思考は、ビジネス側ではなくユーザー側の視点に立って考えることで課題や潜在的なニーズに気づき、企業が提供するサービスに反映するための方法論です。この5年くらいの中で特に注目が高まり、多くの企業で実践されています。

 しかし、デザイン思考の取り組みによって、企業が抱える企画や開発の悩みが解決されたかというと、残念ながらそうではありません。経験した方から多く聞かれる声は「最初は楽しく取り組めたが、具体的な社内活動につながらなかった」という内容です。私はこのような状況に対して、「デザイン思考に頼りすぎることの落とし穴」があると考えます。要因を3つに分けてそれぞれ説明します。

 1つめは、デザイン思考のフレームワークに頼りすぎる場合です。ユーザーの人物像を具体的に描く「ペルソナ」や、ユーザーの行動を可視化する「ジャーニーマップ」など、デザイン思考を使って具体化するためには、いくつかのフレームワークがあります。しかし、フレームワークに基づいて項目を埋めたからといっても、潜在的なニーズやビジネスの成功につながる解決策が見つかるわけではありません。それにも関わらず、多くの企業では、フレームワークを埋めることに意識がはたらき、目的よりも手段が先行してしまっています。

 2つめは、提供側である自身の想いが欠けている場合です。ユーザーの視点に立って考えることが、「サービスを提供する立場」という意識を弱める要因になりがちですが、ユーザー視点と自身の想いは両方大事です。これまでも業界を変えるインパクトを与えた商品やサービスの多くは、経営者やプロジェクトリーダー、あるいは担当者の強い想いから生まれています。提供側の想いが弱いアイデアや解決策は、便利ではあるかもしれないけれど、実は「あってもなくても、どちらでもいい」ものであったりします。

 3つめは、ユーザー側の視点と開発要件やビジネス要件を切り離して考えてしまう場合です。いくら斬新で魅力的なアイデアであっても、開発に膨大な費用や時間を要することなど、収益性の悪いものであれば事業計画としては成り立ちません。ユーザーの立場から考えることは大切ですが、ビジネスとして実現させる方法を後回しにしてしまうと、具体的な検討段階でつまずいてしまうことになります。

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目的思考で体験をデザインする大切さ

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この記事の著者

中島 亮太郎(ナカジマ リョウタロウ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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