インタビュー 移動データとモビリティDXの最前線

出光興産が超小型EVとサービスステーションの連携で目指す新たなモビリティサービス

第4回 ゲスト:出光興産 福地竹虎氏

 MaaSやスマートシティなど、モビリティDXをリードするキーパーソン達に、モビリティやスマートシティの未来について聞く本連載。今回は、超小型EV(電気自動車)参入を発表した出光興産です。エネルギーから素材まで幅広く事業展開する石油元売りの同社が、市場をどう捉えどのような戦略を描くのか、モビリティ戦略室 次長の福地竹虎氏に伺いました。聞き手は、モビリティデータプラットフォームを提供するスマートドライブの石野真吾氏です。
※取材はマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保って行っています。

[公開日]

[語り手] 福地 竹虎 [聞] 石野 真吾 [写] 黑田 菜月 [著] 高橋 龍征 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] 事業開発 モビリティ EV MaaS 超小型EV

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出光興産がEVに参入した経緯

石野真吾氏(以下、敬称略):今年4月に、自動車の製造を手掛けるタジマモーターコーポレーションとの合弁で、次世代モビリティおよびサービスの開発を行う出光タジマEVを設立しました。まずは、全社戦略上での位置付けについてお聞かせください。

福地竹虎氏(以下、敬称略):当社は1911年に創業し、現在は石油元売り大手として、高機能材から電力まで、石油化学やエネルギー分野で幅広く事業を展開しています。現行の中期経営計画では、2030年ビジョンをエネルギーの安定供給と共に社会課題の解決に貢献する「責任ある変革者」と定め、事業を通じて以下の3つの責任を果たすこととしました。

  1. 地球と暮らしを守る責任:カーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギー・マテリアルトランジション
  2. 地域のつながりを支える責任:高齢化社会を見据えた次世代モビリティ&コミュニティ
  3. 技術の力で社会実装する責任:これらの課題解決を可能にする先進マテリアル

 上記の2は、全国に展開するサービスステーション(以下、SS)などの既存資産を活かして高齢化社会の課題を解決する次世代モビリティ事業を指しており、私たちが手掛けている超小型EVはここに該当します。また、3の先進素材事業も、車載用電池素材や車体用高機能プラスチックなどで関係します。

石野:福地さんが在籍しているモビリティ戦略室は、どのようなことをやられているのでしょうか。

福地:元々は2018年6月に超小型EVをはじめとする電動車両が出光興産にどのような存在となるのか、どのように取り組んでいけるのかを検討するプロジェクトとしてスタートしています。2020年9月の道路運送車両法の改正によって超小型EVのクラスが創設されたことを踏まえて、2021年4月から新たな移動体に特化した部隊としてモビリティ戦略室が本格的に活動を開始しました。

 その背景には、2018年に実施された規制緩和があります。それまでは自動車メーカーしか提出できなかった「地域限定認定制度」という、超小型EVを地域限定で走行させることついての申請が、自動車メーカー以外も可能となるよう緩和されました。私たちも出光興産として申請し、実際に2019年8月から岐阜県飛騨市と高山市、2020年4月からは千葉県館山市、7月から南房総市、2021年5月から千葉県市原市と3ヵ所で実証実験を実施しています。

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