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「大企業による新規事業」のリアル

ソフトバンクの社内ベンチャーから紐解く、起業に不可欠な「仮説と検証」とは?

第4回 ゲスト:横井晃さん、佐藤壮さん

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 前回に引き続き、実際に大企業で新規事業開発に取り組まれている方へのインタビューを通して、大企業内での新規事業開発のリアルな事例をご紹介していきます。
 今回お話を伺ったのは、オープンストリート株式会社代表取締役社長の横井晃氏とCOO兼取締役の佐藤壮氏です。オープンストリートはシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」を運営しています。ソフトバンク社内の起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」を利用して、創業者とソフトバンク本体が出資し会社設立されており、2017年度にヤフー100%子会社のZコーポレーションから出資がされています。お二人には、大企業の背景を利用して、大企業から出資を集めながら新規事業を行うことのメリットとデメリットについてお聞きしました。

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コンテストで優勝も、事業化できずとん挫──「大企業の新規事業」としての難しさ

畠山:お二人は元々ソフトバンクの社員でいらっしゃいますが、なぜシェアサイクル事業に着目したのですか?

横井晃氏(オープンストリート株式会社代表取締役社長、以下、敬称略):私たちがこの事業の構想を得た約5年前、社内では孫さん(ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長 孫正義氏)が、当時はまだ馴染みが少ないIoTについて「これからの時代はIoTだ」と発信されていた時期でした。

 当時の私は、モバイルやデータ、クラウド、アプリなどの法人向けのソリューション提案を担当していました。特に印象的だったのが、駐車場にある精算機の改善や、駐車ビジネスに伴うフィールドワークの業務効率化など、駐車事業者向けの企画提案です。よく見る駐車場にある精算機には、実に沢山の音声回線やデータ回線、無線通信が敷設されています。また、車の車止めをするフラッパーという開閉機や、駐輪場出入口の開閉バーも、すべて通信で制御されているのです。

 IoTが社会的に広がってくる中で、こういった大型産業機器が小型化され、もっと効率的にかつ低コストで管理できるような仕組みが実現されていくだろうと肌で感じていました。そういった業務の中でのヒントや、海外でのレンタサイクルの体験も重なり、身近な自転車に応用すれば面白いモビリティーの制御端末ができると考えたわけです。

畠山:なるほど。小型化したIoTデバイスにすることで、自転車の鍵も駐車場と同じように通信で制御できるのではないかと考えたんですね。

横井:はい。ただ、当時の企画段階、提案書には「小型化された自転車向けのスマートロック」という概念だけしか書いてありませんでした。

畠山:最初は社内でどのように提案されたのですか?

横井:社内でオリンピックに向けた新規事業を作るコンテストがあったので、それに応募しました。コンテストに優勝して検討を始めたのですが、検討する中で一旦事業検討打ち切りになってしまったんです。

佐藤壮氏(オープンストリート株式会社COO兼取締役、以下、敬称略):そのとき優勝したのは「オリンピックビジネスコンテスト」というソフトバンクの社内コンテスト。これは当時の法人統括という5~6千人の組織の中でのコンテストでしたので、全社を挙げてという感じではありませんでした。

畠山:なぜ事業検討が打ち切りになってしまったのですか?

横井:大企業だからこそ、社内で検討していくと色々な意見が出てきます。ソフトバンクの主事業で言えば、売上何千億、利益何百億の世界観に対して、「事業規模が小さいんじゃないのか」や、逆に、スケールが出せる計画を作成すると「絵に描いた餅だ、リスクが高すぎる」、主事業との親和性が少ないなど。そういった意見を受けてのことです。

 事業検討継続NGの直後に、榛葉副社長(ソフトバンク代表取締役副社長兼COO 榛葉淳氏)に直接プレゼンのお時間を10分ほどいただき、なんとか再度事業検討するチャンスをいただきました。

 その後、半年ほど事業検討したものの、ソフトバンクの主事業との親和性を大きく作る事業として立ち上げのは難しいと模索している中で、榛葉副社長から、ソフトバンクの社内の事業部としてやるよりも、SBイノベンチャーという社員向けの提案起業制度を使って会社化を目指してみてはどうかと助言をいただきました。そして再度、SBイノベンチャーに応募し、社内事業化ではなく社内起業という形で検討を進めました。

※SBイノベンチャーは、ソフトバンクの社員から年間数千の事業案がエントリーされ、事業検討化される事業案は、年間2,3社。そのうち、事業化、会社設立した起業数は、現在5社と狭き門。

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